今、国会で裁量労働制が話題になっているのをご存知でしょうか?
アンケートデータの分析を巡って、政府の答弁に間違いがあり、答弁内容を撤回するなどの騒ぎになっていますよね。
そこで今回は、裁量労働制というものについてご紹介します。
裁量労働制とは?簡単わかりやすく説明!
裁量労働制とは、労働者(従業員)が雇用者(企業側)と結ぶ労働形態のひとつです。
通常は毎朝定時に出社し、夕方になると業務終了。
その時点でまだ労働する必要があれば、そこから残業となり、残業手当が発生しますよね。
しかし、裁量労働制では、この定時出社、定時退社、残業という概念がありません。
ものすご~く簡単にいえば、「大体これくらいの時間は労働しているはず」という考え方に基づいて、その人の給与が計算されているのです。
なので、ある程度の残業が発生することを最初から考慮して給与が決められています。
ということは、やるべき仕事を早く片付けてしまえば、その分得したことになりますし、逆に、やるべき仕事が終わらなければ、実質損していることになります。
これは実力主義のように聞こえますが、現在の日本では厚生労働省が定めた業務に限定して裁量労働制が認められています。
また、裁量労働制の導入には、労使双方が合意の上、事業場所轄の労働基準監督署長への届け出が必要となります。
つまり、すべての職種に裁量労働制が適用される訳ではなく、会社側は勝手には裁量労働制を適用できないということです。
さらにいえば、業務が深夜(22時以降)や休日に及んだ場合は、いくら裁量労働制であっても、割増賃金の対象になります。
加えて、1日の平均労働時間が10時間を超える場合は、労使間で別途協定を結ぶ必要があります。
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裁量労働制になると影響を受ける職種は何?
それでは、どんな職種ならば裁量労働制が適用される可能性があるのでしょうか。
法律で定められている定義としては、「業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務」となっています。
具体例をあげると、
- 新商品・新技術の研究開発、人文科学・自然科学に関する研究業務
- 情報処理システムの分析・設計業務
- 新聞・出版事業における記事の取材・編集業務、放送制作の取材・編集業務
- 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案業務
- 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー・ディレクター業務
- コピーライター業務
- システムコンサルタント業務
- インテリアコーディネーター業務
- ゲーム用ソフトウェアの創作業務
- 証券アナリスト業務
- 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発業務
- 大学教授研究の業務
- 公認会計士業務
- 弁護士業務
- 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)業務
- 不動産鑑定士業務
- 弁理士業務
- 税理士業務
- 中小企業診断士業務
等があります。
こうしてみると、かなり多くの職種が裁量労働制の適用対象となっていますね。
裁量労働制にはメリットがあるの?
裁量労働制の一番のメリットは、出退勤の時間帯制限がないことです。
例えば取引先の都合によっては、日中よりも夜間に働いた方が都合が良い場合があります。
その場合、通常の雇用形態では、日中はほとんどすることがない代わりに、夜間は忙しく退勤時間が遅くなってしまいます。
しかし裁量労働制ならば、業務時間を夜間にして日中をオフにすることもできます。
こうすることで業務における無駄を省くことができ、企業側にとっては余計な残業代を払わなくて良くなります。
裁量労働制とは?どうなる残業代?
このように、労使ともに時間を有効に活用できるのが裁量労働制ではあるのですが、実際の現場では上手くいっていない場合が多いようです。
裁量労働制が認められるのは、あくまでも労働者個人の裁量によって業務が行われている状態あって、会社側や上司から時間や仕事量を管理される場合は適用外となります。
しかし、実際の業務においては、ほとんどの労働者が上司から時間や仕事量を管理されており、「時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる」という裁量労働制の基本原則が守られていないのです。
しかも、企業側としては裁量労働制が適用されている社員には残業手当を支給する必要がないので、次から次へと仕事を依頼し、長時間働かせる傾向があります。
その結果、労働者としては、「残業手当はもらえないのに、長時間労働になる」という状態に陥ります。
つまり、残業手当が発生しないというところを悪用して、労働者に過酷な労働を強いる企業が存在しているのです。
こうした実態を把握するために、裁量労働制を適用された労働者の労働時間がどれくらいになっているのかを調査したアンケートがあるのですが・・・
政府がそのアンケートの分析結果を述べた際、分析結果が大きく間違っていたことが発覚し、国会で野党から厳しく追及されているのが現状です。
裁量労働制を導入した成果をあげて、さらに対象を拡大していきたい政府と、裁量労働制は労働者にとって不利に影響することが多いと指摘する野党との戦いになっています。
実際に裁量労働制で働いている人もいると思いますが、
- 時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる
- 業務が深夜(22時以降)や休日に及んだ場合は、割増賃金の対象となる
- 1日の平均労働時間が10時間を超える場合は労使間で別途協定を結ぶ
といったルールはちゃんと守られていますか?
裁量労働制の仕組み自体を企業側が正確に把握していないケースも多々あるようなので、これを機に会社の就業規則を読み直しみるのもいいかもしれませんね。
まとめ
裁量労働制とは、特定の職種において、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねることで成立する労働契約です。
政府や適用対象の職種を増やそうとしていますが、実際の現場では、裁量労働制が労働者に不利に影響することが多いようです。
労働者としても、企業に泣き寝入りするのではなく、ルールの正しい運用を求めていく必要があるのかもしれませんね。
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